A Jacket Well Worn: 宇藤えみさん

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今回お話を伺うのは、ファッション、ライフスタイル、フードと、衣食住にまつわる分野で活躍する
スタイリスト の宇藤えみさん。

手がける仕事は多岐にわたりますが、そのどれにも一本の芯が通り、心地よい時間が流れています。
今回は、そんな宇藤さんの“ものを選ぶ”という姿勢やこだわりについてお話を伺いました。

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__まずは宇藤さんのお仕事内容について、教えてください。__

ファッション、フード、インテリアなど、衣食住に関わるスタイリストをしています。
仕事を始めた当初は洋服のスタイリストとして活動していましたが、子どもが生まれたことで視野が広がり、関心も自然とライフスタイルや食へと向かっていきました。それに伴い、ライフスタイルに関わる分野のお仕事も少しずつ増えていったんです。

インスタグラムに自分の世界観を投稿していたので、その空気感を感じ取ってくださり、ご依頼をいただくことも多いです。自分の感覚でスタイリングを楽しんでいたのが、お仕事としても広がっていった感覚です。

葉山に移り住むきっかけについて教えてください

私自身が愛媛の自然の中で育ったので、自然に囲まれた場所で子育てしたいという想いはずっとありました。
葉山にはもともとよく遊びに来ていて、空気感や海の波の感じが実家のまわりの雰囲気に似ていると感じて
いたんです。コロナ禍がひとつのきっかけとなり、移住を決めました。仕事の面で不安もありましたが、
それ以上に、まずは子どもたちのために暮らしを整えたいという気持ちの方が強かったですね。

お家のスタイリングはどんなことを意識しましたか?

キッチンはいわゆる“台所”というよりも“自分の部屋”という感覚でつくりました。本当に自分の好きなもの
だけを飾っていて、お香や息子が拾ってきた流木、作家さんの作品だったり、あえてキッチンには関係ない
ものも置いてあります。料理をしないときでもキッチンに椅子を持ち込んで作業することもあるくらい、
とても落ち着く空間です。

中が見える小さな棚は「衣替え」と呼んでいて、洋服の衣替えのように季節に応じて中身を入れ替えて
います。そうすることで自然と季節感のある器を選ぶようになりますし、何を並べるかを考える時間も楽しい。
葉山に移り住んでから、より日々の暮らしを楽しむ工夫や、心地よい空間づくりを意識するようになりました。
その他の器を収納する大きな棚は「クローゼット」と呼んでいて、引き戸にして全部見渡せるよう設計して
もらいました。

以前住んでいたお家も収納が充実していたんですが、何年も使っていない器が奥に眠っていたりもして。
今は不要なものは譲り、収納も工夫したことで、手持ちの食器をきちんと把握できるようになりました。

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季節ごとに「衣替え」を楽しんでいる小さな棚。

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キッチンにはお香も。玄関に置いているお香とはセレクトが異なり、
キッチンには料理を邪魔しない香りを置いているそう。

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食器は色別に分けて収納するのが宇藤さんのスタイル。
洋服のクローゼットも同じように、同系色ごとに分かれているそう。

葉山に移り住んで、ものの選び方に変化はありましたか?

ゴミの分別が細かくて大変なので、なるべくゴミを出さないような物選びを心がけるようになりました。
そうすると自然と暮らしも変わっていって、日用品も「捨てない」ことを前提に、長く使えるものを選ぶ
ようになりました。

たとえば洗い物をするタワシはやスポンジも、以前は泡立ちのよさを優先していましたが、
プラスチック製のものは最終的にゴミになってしまう。だからヘチマダワシを選ぶようになったり。
子どもたちもそんな暮らしに慣れていて、特に生き物が大好きな息子は、お散歩中にプラスチックのゴミが落ちていると拾って持ち帰ってきます。自分たちで自然と学べる環境があることは、すごくいいなと思っています。

それから、食べ物は旬のものを積極的に取り入れるようになりました。都内だと年中いろいろな食材が手に入って便利ですが、葉山では季節の流れがそのまま売り場に並びます。だから自然と旬が見えて、その季節ならではの
食事を楽しむようになりました。

季節感は、器や洋服を選ぶ際にも意識されていますか?

葉山で暮らしていると日々景色が変わるので、季節に敏感になります。自然と目にする景色から、
アイデアを取り入れるようになりました。それは子どもたちが教えてくれたことでもあって、自分にはなかった
視点から「この色可愛いね」と言われて気付いたり。

散歩をしていても、雑草や季節の花を目にして「色のバランスが可愛いな」「この色合いはこの季節しか見られ
ないな」という発見があって、それをお洋服やお皿の組み合わせに取り入れてみたりもします。
自分では選ばないような配色でも、自然の中で調和しているものだから不思議と違和感がなく、日々新しい発見
があるんです。面白いことに、葉山に住み始めてから、子供たちの描く絵も色づかいが変わってきました。

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ラベンハムも、自然や風景の色からインスピレーションを得ています。今着ていらっしゃる「クロップド ソーンハム」の「トープ」という色も、一見新鮮に映りますが、イギリスの風景に多く見られるレンガの色味に通じるもの。レンガは土から生まれた素材だからこそ、こうしたニュアンスの色が自然に馴染むんです。葉山の自然とも調和すると思います。

実はブラックとも迷ったんですが、この「トープ」という色はすごく品があって、手持ちの
アイテムとも馴染みそうだなと思ったんです。今日みたいにデニムと合わせてカジュアルに着てもいいし、中にきれいめのブラウスやシャツを重ねれば、仕事で都内に出る日や学校行事にも着て
行けます。それにこれだけ軽いと、寒いのか暑いのか迷う季節にも、バッグに入れておけば安心
ですよね。

軽くて生地も柔らかいのでお部屋の中でも活躍しています。
寝る時に着るにはもったいないけれど、それぐらい気持ちがいい。ちょっと外に出る用事ができた時も、部屋着の上にさっと羽織ればそのまま出かけられます。ポケット付きで、コットン素材
だから気軽に洗えるのも嬉しいポイントですね。子どもたちと自然の中で遊んでいるとすぐに汚れてしまうので、動きやすさとお手入れのしやすさは重要なんです。
このキルティングのデザインも、さり気なく女性らしさを感じさせてくれる気がします。

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ラベンハムは自社工場で職人が1着ずつ丁寧に仕立てています。だからこそ、コンセプトに合わせて多様なキルティングがつくれるんです。もう1着、宇藤さんが選んでくださった「アンワディッド ボンバー ジャケット」はまた違うキルティング模様ですが、こちらはどんな理由で選んでいただいたのでしょう?

一見メンズっぽいんだけど、女性らしさも感じられる。
きっとこの裾のラインや丸みのあるシルエットが、そう見せてるんだと思います。かっこよさがありながら、
裾が広がるシルエットでかっちりしすぎない。ちょうどお尻が隠れる丈感で、体型をさり気なくカバーしてくれる
のも嬉しいですよね。

ゆったりとしたシルエットだから肉厚のニットも中に着られるし、風を通しにくい素材なので、
寒い日も案外いけちゃう。
コートの下にインナーとして重ねるのもいいなと思います。

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スタイリストとして活躍されてきた宇藤さんにとって、ラベンハムはどんなイメージがありましたか?

着崩すというよりも、きちんとしたお出かけで着るような、かっちりしたイメージが強かったんです。
でも実際に自分で着てみると、もっと普段使いできるアイテムなんだなと実感しました。秋冬の印象も
強かったのですが、コットンのジレがあったり、このジャケットのように中綿の入っていない軽やかな
ジャケットもあったり、これからの季節にも活躍するんだなと。

春は温度差が激しいので、アウターを持ち歩くのは大変ですが、これならバッグに入れておけます。
中綿がない分コンパクトになるし、シワもあまり気にせず着れますよね。

普段、ご自身の洋服を選ぶときは、どんなことを基準にされているのでしょう?

ファッションスタイリストとしてトレンドを追いかけていた時は、とにかく流行のものや、
その時の自分の気分でものを選んでいました。でも今は、「長く使える」ということを一番大事にしています。手持ちのものとどう組み合わせられるかが重要で、例えば3、4パターン着回しの想像ができるかどうかを、まずは考えます。洋服も器も、衣食住すべてをそうした視点で選ぶようになりました。
ラベンハムのジレとジャケットも、手持ちのアイテムと相性がよさそうなものを選んでいます。

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ラベンハムではリペアサービスも行っているので、長く愛用していただけると思います。
イギリスの工場から素材を取り寄せ、国内の公式工場でひとつひとつ職人の手で修繕しています。

バッグはお直しに出したことあるんですが、アウターはリペアをしたことがなかったです。
細部まで手が込んでいるお洋服ですし、そういうサービスがあるのなら、リペアも利用して長く
使いたいですね。

ご自身の生活でのもの選びと、スタイリストとしてのもの選びに違いはありますか?

あまり違いはないです。自分の暮らしに近いテーマでお仕事をいただくので、普段と同じ感覚で、スタイリングを楽しんでいます。「暮らしが仕事、仕事の暮らしが仕事」という陶工・河井寛次郎さんの言葉が好きで、
その感覚を体現できている気がします。

昔は常に仕事モードで、いつも“何かを探す”という視点でものを見ていました。
それもすごく楽しかったんです。でも今は子どもたちがいるので、仕事も大切だけれど、母でも
ある。だったら切り分けずに、全部一緒に楽しめばいいんじゃないかと思うようになりました。
「暮らしを楽しんで、それが仕事につながればいい」。それくらいの感覚でいると気持ちも楽で。
今が一番心地よくお仕事できている気がします。

最後に、スタイリストのお仕事の楽しさはどんなところにありますか?

自分の好きなものや表現したスタイリングが「素敵」と言ってもらえたり、実際に取り入れてもらえたりすると嬉しくて、
スタイリストって面白いと感じる瞬間です。

色々な人との新しい出会いがあることも魅力ですね。そこからまた面白い広がりが生まれていきます。
好きなものが誰かに届き、出会いが広がる。そうした連なりが、この仕事の楽しさだと思います。

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宇藤 えみ

愛媛県出身。フード、ライフスタイル、ファッションなど、衣食住の分野で幅広く活躍するスタイリスト。2022年に葉山へ移住。家族との暮らしを楽しみながら、日々の発見やアイデアをスタイリングに取り入れている。季節を感じさせる豊かな暮らしの提案で支持を集めている。

Writer : Moe Shibata
Photographer:Takeshi Sasaki
Editor: Arisa Ogura

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