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“スタイルのある人”とは?
様々な分野で活躍する人々の“スタイル”を紐解く。
ライフワーク、そしてファッションという2つの視点からその人らしさをつくるエッセンスについて、たずねていきます。
イラストレーターとして活躍するよしいちひろさんのご自宅にお邪魔し、お仕事のこと、
お家のこと、そしてファッションのこと......様々なお話を伺いました。
イラストレーターになった経歴と、お仕事について教えてください。
大学時代は教育学部の中にある美術クラスに入っていて、“ものをつくる仕事”をしたいと漠然と思っていました。ただ当時は、バンド活動をしていて卒業後も続けたかったので、イラストレーターなら兼業できるかもしれないという甘い気持ちから興味を持ったんです。実際にはそれは難しくて派遣のOLをしていた時期もありました。
いよいよ本気でイラストレーターになりたいと思ったタイミングで、派遣の契約を切られてしまったんです。“今なら動ける! ”と地元関西の雑誌社に売り込みに行ったんです。タイミングよくお仕事をいただけて、気づけば一冊ほぼまるっと自分のイラストになっていたというのがイラストレーターとしてのはじまりでした。一見するとマイナスなことでもプラスに変わることがあるんだなと身を持って体感しました。
具体的にどんなお仕事をしていますか?
雑誌、書籍、広告の他に、最近だとチョコレートのパッケージやブランドのノべルティなどのイラストも描きました。今年は伊勢丹さんでのキュレーションも実施させていただくことになり、その際はメインビジュアルを描いたり、作品展をさせていただいたりしました。
お仕事はいつもどちらでされていますか?
2年前にリノべーションした時に自宅の中にアトリエスペースをつくり、そこで作業をしています。限られた居住空間ができるだけ狭くならないよう、壁はガラスにして抜け感を出しました。木の柱は自分たちでペイントしたのですが、自分で塗るから塗り直せるしと思い切って緑にしたんです。そしたらよりいっそう自分の好きな空間になりました。
アトリエもお家全体もとっても素敵な空間ですが、インテリアはどのように選んでいますか?
普段から、“これはどれくらい好きか、好きじゃないか”というのを真剣に考えている気がします。直感的に好きかどうかというのはもちろん、年齢とともに機能を含めた美しさにも意識が向くようになりました。とにかく使ってみることで、好きなものがどんどん明確になってきた気がします。
“どれくらい好きか”という視点は、洋服にも共通しますか?
そうですね。クローゼットに入る分だけしか洋服を持たないようにしているので、洋服を取捨選択する時の基準に、“その時の自分がそれをどれくらい好きか”というのがあります。 それから、何においても「できるだけ長く使えるもの、手放さなくていいもの」を選ぶ意識が強くなりました。例えばお洋服も、今年しか着られないものは選ばない。自然とクラシックなものを選ぶことが増えて、クローゼットに長く残るのもやはりそういったものたちです。昔から古着も大好きで、ちょっとクセのあるものや個性のあるものを“かわいい! ”という衝動で買ってしまうこともあります。それらが活き活きするような洋服を買い足して、出番が少なかったものたちがまた素敵に輝くようになると、とっても幸せを感じます。
“好き”が詰まったクローゼットの中から、毎日どんなふうに洋服を選んでいるのでしょう?
オフの日はオフの日らしい服を選ぶ楽しみがあるように、お仕事の日もその日のお仕事内容に合わせてお洋服を選びます。例えばアイデア出しなど、“気合入れて仕事をするぞ”という日は派手めな服で自分のテンションをあげたり、逆にずっと絵を描く作業をする日は、動きやすい服を選んだり。朝、洋服を選んで メイクをすると、やっぱりスイッチが入るんですよね。洋服選びで、自分の気持ちを盛り上げる、自分を楽しませる、という意識があると思います。お買い物も毎日のコーディネートも、“ものを選ぶ”ことに対しての熱は人より強いかもしれません。
“ものを選ぶ”ということに対して強い想いを持たれているよしいさんですが、 ラベンハムのジレやジャケットはどういう部分が気に入って選んだのでしょう?
ファッションのブランドって選びたい放題あるので、それならばものづくりに共感したブランドを選びたいと思っています。先ほどの「できるだけ長く使えるもの」という観点から、クラシックで丁寧なものづくりを続けてくれること、ラベンハムがラベンハムとして変わらず居てくれることに、ありがたさを感じています。
愛用されているラベンハムのアイテムについて教えてください。
左の「ベタージレ」は本当に大好きで、もう3,4年の間たくさん着てるんですけど、全然悪くなってないですよね。まさに先ほどお話しした“1日中絵を描く作業をする日”にもこのジレはありがたくて、袖がないから腕を動かしやすいんです。元々べストは好きで色々持っている中で、ラベンハムのキルティングベストは断然あたたかくて、それもありがたいです。 右の「ドライワックス クレイドン」は、外に出る時にサッと着ることが多いお気に入りです。雨も防げるので、雨の日に自転 車に乗る時にも大活躍しています。マスタードイエローはパッと印象が明るくなるので秋冬のお洒落にも重宝していて、息子も同じ色のラベンハムのジャケットを着ているんですよ。
- ジレ: A Better Gilet Unisex / ア・ベタージレ ユニセックス
- ジャケット: DRY WAX CRAYDON / ドライワックス クレイドン(2022 SSコレクション)
今日のコーディネートについて教えてください。
まず、このジレは色が大好きなんです! 大きめのボタンやコーデュロイのパイピングなどのディテールも好きです。下に着ているシャツは20年前くらいに古着屋さんで買ったもので、当時はうまく着こなせなかったんですけど、今はこの“クセ強”のかわいさがしっくりくるようになりました。このマフラーは、スコットランドで家族で経営しているブランドみたいです。ラベンハムのようなべーシックなものと、ちょっとクセのあるものを組み合わせるのが好きなのかもしれません。
もう一つは、ジャケットをカーディガンっぽく着たくて、インナーはシンプルなポロシャツにしました。その分ネックレスはジャラッと存在感のあるものをつけて、大人っぽくアレンジしました。
最後に、ラべンハムを長く愛用されている理由を教えてください。
母の影響もあり“クラシックであることが善”というふうに育ったので、私自身クラシックなものに対して安心感や愛着を感じます。生産を効率化せず、あえて今の形を続けることによって息づくラベンハムらしさは興味深く、今の時代だからこそ大切にしたいもの。“ラベンハムらしさ”を押し付けているわけではないのに、他のブランドさんと協業される時でもちゃんとラべンハム然としているのは、芯かしっかりあるからなんだろうなと。自分もそういった表現者でありたいなと、改めて感じました。
よしい ちひろ
1979年兵庫県生まれ、東京都在住。雑誌や書籍、広告、商品のパケージなど幅広く活躍するイラストレーター。水彩画を中心に、日常や憧れをやわらかくみずみずしいタッチで描く。
『SAVVY(サヴィ)』ではコラム連載を担当。テイストや概念にとらわれないしなやかなセンスが活かされたファッションにも注目が集まる。
INSTAGRAM: chocochop2
Writer : Moe Shibata
Photographer :Takeshi Sasaki
Editor: Arisa Ogura