Style Sample vol.6

5795

今回お話を伺ったのは、国際薬膳師として活動する有田千幸さん。
「養生美食住」をテーマとしたワークショップの開催や、台湾の朝ごはん、薬膳焼き菓子「千/cen」のポップアップショップなどを展開している。

食を軸にしながらも、薬膳から学んだ生き方は生活全体へと広がっているそう。そこで今回は、衣・食・住それぞれの視点からお話を伺いました。

まずは国際薬膳師というお仕事について教えてください。

「国際薬膳師」というのは資格の名称なんです。薬膳の考え方は、料理だけでなく、美容やファッション、ものの選び方など、暮らし全体に自然と反映されているので、「料理家」とまとめるのはしっくりこなくて。そこで「国際薬膳師として活動しています」と紹介するようにしています。

国際薬膳師としてお仕事をするようになったきっかけを教えてください。

娘の離乳食が始まったのがきっかけでした。今までミルクを飲んでいたまっさらな体にどんな食事を取り入れるべきかを考える時に、何かベースになる考えがないとぶれてしまうと思ったんです。

そこで「私にとって健康ってなんだろう? 」と考えた時に、台湾の航空会社で9年間勤務していた経験から「薬膳かな」とすぐに思いました。まずは通信で薬膳コーディネーターの勉強を始め、中医薬膳師、国際薬膳師と順に資格を取りました。

Display Image
Display Image

“食”について伺います。
台湾と日本の食文化の違いはどんなところですか?

食を重んじているというのはどちらにも共通するのですが、台湾では「養生」という言葉が根付いていて、より“食べるものが体をつくる”という考えが深いと感じます。例えば、台湾の航空会社に勤めていた時に、朝のフライトで早朝に出勤すると、「おはよう」のかわりに「朝ご飯たべた?」と聞かれるんです。「食べてない」と答えるとどこからともなく食べ物を差し出してくれるのですが、「仕事の前に腹を満たさないと」という考えがあるんですよね。

台湾の人たちは、ただお腹を満たすのではなく、「何を食べて、どうやって1日を元気に過ごすか」というところに重きを置いている気がします。それに、台湾の朝ごはんってわくわくしますよね。私もそんなわくわくもを届けられたらと思い、台湾の朝ごはんを提供しています。

薬膳料理の魅力はどんなところですか?

私は、“シンプルさ”が好きです。「今の体調ならこれ、こういう体質ならこれ、季節的にはこういうもの」という指針に沿って、必要なものを必要な時に必要な分だけとる。その考え方に納得して、食事も自然とシンプルになりました。

これから暑くなると冷たいものをとりがちですが、体が冷えると不調の原因に。でも「夜はあたたかいスープで整えよう」と思えれば、それで十分です。みなさん忙しい毎日を過ごしていると思うので、複雑なことはできないし、私自身も同じです。だからこそ、できるだけシンプルで、続けやすい提案をしたい。例えば白ごはんをおかゆに変えるだけでも巡りがよくなり、体調が整うこともあるんですよ。

Display Image
Display Image

“住”について。
東京と広島での2拠点生活をされてるのですよね?
それぞれのお家はどのような役割の違いがありますか?

広島の家は元々祖父母が住んでいた家で、祖父母が亡くなった後は限界集落というのもあり、このまま使われなければただ朽ちていく状況でした。思い出の詰まったその家を守りたいという一心で、祖父母が住んでいた時のものを残せるものは残しながら、建築家である夫がリノベーションしました。祖父母の面影を残しながら、少しずつ引き継いでいけたらと思っています。

東京は本当に便利で、家の周りだけでなんでも揃う。逆に広島は何もなくて、ゴミも自分で焼却する生活です。この環境は5歳の娘にとっても学びが多いと感じていて、野菜は土からできることや、動物も一緒に暮らしていること、東京では気付けないことをここで感じてほしいなと思っています。東京の生活では制限させてしまうことも、広島の家ではのびのびとさせてあげられる。私たち夫婦も仕事をあまり入れずに基本的に家にいるので、家族3人で過ごす時間がつくれます。

“2拠点”という言葉だけでは表現できないくらい、原点に戻れる場所であり、自分たちのマインドもリセットできる場所。“シンプルに生きる”ということができる場所です。

“衣”についても聞かせてください。洋服を買う時はどのように選んでいますか?

以前は「かわいいな」と思って購入したのに着ないものも結構あって、「それはきっと私に合っていないんだ」ということに気付いたんです。なので“自分の顔と洋服が合うか”をしっかり考えるようになりました。

それから、“どういうシーンで着られるか”ということ。仕事で作業や自転車に乗るシーン、新作発表会などのシーンを浮かべて、その服が当てはまるかどうかを考えます。例えば仕込みの時は、繊維が落ちやすい素材や、袖にボリュームがあってもたつきそうなものは避けています。すでに持っている洋服との相性も重要ですね。

「アンワディッド バートン」はどんなシーンで着用していますか?

まず、薬膳師としての仕込みなどの作業や広島での農作業の際は動きやすさが重要なので、日常的にベストやジレをよく着ています。キッチンに立つ時に肌寒い時はエプロンの下に着用しますし、広島の家に行く時は東京よりも気温が下がるので、温度調節のためにも欠かせません。でも作業のことを考えるとどうしても黒が多くなってしまうので、こちらは思い切って白を選んでみたんです。

手持ちの服は白黒が多いのでそれらとも合いますし、今日みたいな真っ白コーデを楽しみたいと思いました。中綿がなくすっきりときれいめな印象なので、新作発表会などの場でも着られそうですよね。普段作業している洋服の上に1枚ばさっと羽織るだけで、ちょっと装いがクラスアップするんです。

Unwadded Barton Womens / アンワディッド バートン ウィメンズ

春夏シーズンのレイヤリングに最適な「UNWADDED(中綿なし)」のフード付きアウタージレ(ベスト)

アイテム詳細はこちら

Display Image
Display Image

“衣食住”それぞれについて伺いましたが、すべてに共通する考え方はありますか?

ひとつの言葉で表すなら、“シンプルに生きたい! ”ということです。薬膳料理を初めてから食への考えがシンプルになって、それが自然に他の部分にも浸透していき、生活すべてがシンプルにまとまっていったんです。

元々“シンプルに過ごしたい”とは思っていて、その背景には高校・大学でのニュージーランドでの留学経験があると思います。ニュージーランドの人々の生活はとてもシンプル。トレンドを気にせず、車や家具、洋服など、自分が大事にしているものを壊れたら直しながら使い続ける文化が根付いていて、いい意味で物欲が湧かないんです。私自身もスーツケース1つで留学に行って、スーツケース1つで帰ってきました。

帰国してから客室乗務員として働いている時もやはり、スーツケース1つで国を行ったり来たり。いかにコンパクトに荷物をまとめるかということに懸けてました(笑)。それを不自由に思ったことはなくて、むしろ身の回りがシンプルな方がメンタルも整う。

シンプルに生きようとすると身の回りのものが減って、ものが減ると環境への負荷も減ることに気が付きました。そうやって薬膳を通して私が感じたことを、ワークショップなどの活動の中で皆さんにも少しずつお伝えしています。

Display Image
Display Image

FOOD&COMPANY 学芸大学店

全国の厳選野菜がセレクトされるFOOD&COMPANY 学芸大学店は、有田さんが“シンプルな毎日”を過ごす上で欠かせない場所のひとつ。1日に何度も足を運ぶこともあるのだとか。

LAVENHAMには「Being Better(より良くすること)」という理念があります。今ある生地を使い切るための商品づくりや、生涯修理サービスの提供など、地球環境を考慮した範囲内でのものづくりを行なっており、重なる部分を感じました。

修理できるというのはやっぱり買う時にすごく安心できますよね。長年愛用すればどうしても傷んでいくし、機能性が落ちてしまうこともある。そこで新しいのを買うのではなく、愛着のあるものを直して使い続けられるというのは自分にとっても嬉しいことですし、環境にとってもプラスですよね。

あとは、新しいものを買う時はリユースする前提でものを選ぶようにしているのですが、それは自分が使わなくなっても価値の落ちないもの、誰かが欲しがってくれるものである必要があります。値段が高ければいいというものでもない。ラベンハムはクラシックで上品な印象があって、普遍的。これからも価値が落ちないという信頼があります。

薬膳師として環境への負荷が少ない選択を提案する中で、「楽しいこと」から始まらないと、続かないし広がっていかないと実感しています。たとえば食も、「体にいい」だけではなく、「おいしい」「きれい」から入ってもらうのが、いちばん自然で続けやすいと思うんです。

環境のことも同じで、まずは「おいしい」「きれい」「たのしい」など、自分にとって嬉しいことがきっかけになればいい。楽しんで取り入れていたら、気付いたときには地球にもやさしい選択になっていた。そんな提案をしていけたらいいですよね。

Display Image

有田 千幸

薬膳料理教室「光と風が通る家」を主宰するほか、ライターとして環境やサステナビリティに関する記事の執筆も手がける。客室乗務員としての台湾の航空会社での勤務経験や、雑誌・WEBでの編集・執筆業を経て薬膳の世界へ。

台湾の朝ごはんや薬膳焼き菓子「千/cen」のポップアップなど、日常に寄り添うかたちで薬膳の魅力を伝えている。東京と広島を拠点に、自然と調和した暮らしを実践中。

INSTAGRAM: @chiyuki_arita_official

Display Image

FOOD&COMPANY 学芸大学店

都会に住みながらも全国の厳選野菜をデイリーに、リーズナブルに楽しんでいただるようにセレクト。
食べることを通して日常の中のささやかな楽しみを提供するグローサリーストア。

〒152-0004
東京都目黒区鷹番3丁目14−15 プライムアーバン学芸大学2
TEL:03-6303-4216
営業時間:10:00am-20:00pm
INSTAGRAM: @foodandcompany_grocery

Writer : Moe Shibata
Photographer :Takeshi Sasaki
Editor: Arisa Ogura

関連記事

12166

A Jacket Well Worn: 宇藤えみさん

IMG 0284

Lavenham Yokohama S26

IMG 1121

Lavenham Custom